「拉致監禁罪でとっつかまりますよ?」

















何だか変な事になってしまった。




あたしはただ静かに図書館で勉強してただけなのに





なんでこんな危なそう(いや実際危ないけど)な男に姫だっこされて、あげくの果てには部屋につれこまれているんだろう




「コーヒー飲めるか?」


「えーっと…お構いなく」



その前に貴方本当にあのクロロ=ルシルフルなんですかね?




図書館からクロロに拉致されたは廃墟とかした廃ビルのようなところにつれてこられて、案内された部屋でソファーに腰掛けていた


廃墟といってもクロロの部屋は整理が行き届いていて、といっても物がほとんどないような状態なのだが、まあまあ快適にすごせる殺風景な空間だ



はとりあえず降ろされたソファーで居住まいを正しくるりと部屋を見渡す


盗賊っていうくらいだからもっとごちゃごちゃしてるのかなーとか思ってたけど。



そういえば今あたしが座ってるこのソファーも盗んできたものだったりして…


ははは、と乾いた笑いを形どりながら天井を見上げた



あたし、これからどうなっちゃうんだろう。



今日中には…帰してもらえないだろうなー



てか一生?



それは困る、だってあたし試験受けたいんだから!


なんだかこんな時にまで試験の心配をしている自分が滑稽に思えて、そして少し哀しくなった



あたしがいなくなっても哀しんでくれる人なんてひとりもいないんじゃないだろうか


両親はもとより血のつながった兄弟、親戚もいない

友達だって本当は心から許した人はいなかったように思う



だとしたら。



このままクロロって人に呆気なく殺されてもいいかもしれない



あたしが生きている意味って、何だろうね




コトン



そんか音が思考に入り込んできて、あたしは慌てて顔を正面にもどす



「熱いから気をつけて」


「あ…ありがとうございます…」



目の前のそんなに大きくはないテーブルに置かれた湯気のたつ黒糖色のコーヒーになぜか安堵感を覚えた



テーブルに並ぶふたり分のコーヒーカップ



誰かとこうしてコーヒーを飲むの、どのくらいぶりだろう



妙に感傷的になりながらそっと一口カップに口を近づける



「毒がはいっていたらどうする?」



いつのまにか隣に腰掛けていたクロロの言葉には驚くもなく無表情に呟いた


「別に。どうもしない」


そして躊躇いもせず一口含んでそれはの喉をするりと通っていった

クロロはそんな彼女をおもしろそうに微笑んで眺めて自身も熱い液体を口にする



「さて。じゃあさっきの問題見せて」


「え………?」



まさか本気だったんですか?



口を小さく開いてクロロを見つめて動かないに彼はすっ、と近づく


「あの、顔近いんですが」


顔を赤くするでもなく平然とは言って鞄を探りノートとペンをとりだした


たいするクロロは一瞬目をぱちくりさせてから息を吐くように笑っての取り出したノートを手にする


そしてクロロはパラパラとページをめくり目当ての箇所を探し当てると顎に手をやってしばし考えこみだした




軽く落とされた目線、とか顎にかけた男の人にしては綺麗な手だとか、触ったらゆびどおりの良さそうな艶やかな黒髪に、何だか目を奪われてしまって。



ハッ、とそのことに気がついた時、あたしは恥ずかしくなって顔を俯かせてしまった



なんでこの人盗賊なんてやっているんだろう



こんなにかっこよかったら、他にいくらでも稼げる仕事見つかりそうなのに。



まさか性格に問題が…?



。おい、


「へ………?」



隣からかかった声にあたしは何とも間抜けな声をあげてしまった



「あ、…えっと、はい」


急いで隣の彼に目をやって、ついでに躯の角度もクロロのほうに向き直す


「簡単な事だ」


クロロはそう言うと手にしたノートをにも見えるようにテーブルに広げて説明しだした



簡単な事…にあたしは随分悩んでいたんですがね


軽くこめかみがひくつくのを無視してノートに意識を集中させる

盗賊って言ってもただ腕っ節が強いだけじゃなくて頭もいいんだ。

頭の片隅でそんな事を考えながら意外と丁寧に書き込みながら説明してくれる彼の話をきく





「理解できたか?」


終わりを告げるクロロの穏やかな声にはほうっ、とひとつ感嘆の息を零した


「…すっごい。すっごいわかりやすかった…」


なんかちょっと尊敬。


そうして今の彼の説明を頭で反芻しながらもう一度ノートに目をやる



「えーすごい…ありがとうございました!」



わからなかったことが解消されるっていいね!


自然緩む頬でクロロを見上げて御礼を言ったにクロロは飲んでいたコーヒーを置いて微笑みかえす


「いや。」


つい今しがたそう隣で聞こえたかに思えた声は一瞬にしてあたしの目の前で聞こえて。


「いや、ここにいる間は俺がのわからないとこ、教えてあげるよ」


何だろう。もう顔が近すぎてぼやけて見える



「はぁ…どうも」


そして彼は軽くのけ反り気味のあたしの背中に腕をまわしてそれ以上逃げられないようにすると唇にくちづけた



いまいち状況が読み込めなくて目を開いたままのあたしと唇を合わせたまま、彼は目を合わせると目だけで妖しく笑いかけてきた



その奥に微かに除く冷たい光に怯えながらもどこか引き寄せられて。



ただ触れ合うだけのキスはクロロがゆっくりと顔を離したことで終わりを迎えた


「あとひとつ。」


突然されたキスに遅らせながらも驚くの唇に人差し指をあてながらクロロはよくとおる低い声で囁く





「俺のことはクロロと呼べ。敬語もいらない」




ひとつじゃなかったのか。



内心つっこみながらも唇に感じるクロロの指に不覚ながらも胸が少し速く脈うったことはあたしの今最高の秘密である
















思わず がでそうになったなんて言ってあげない

クロロに勉強を教わりたいなァ
タイトルは並んだコーヒーカップをみてヒロインが感じた事です
(説明しなきゃわかんないタイトルじゃ駄目じゃん…
(070725 如月亜夜)